歯周病は歯周病原細菌(歯周病菌)に感染することによって発症します。
歯周病菌は1種類ではありません。何種類かの細菌が複合的に感染することによっておこります。
その際に、どの菌がどんな割合で感染しているかを調べれば、どのタイプの歯周病なのかを知ることができ、より適切な治療法を選択することができるのです。

通常行なわれているレントゲン撮影や歯周ポケット測定などの一般的な検査は、歯周病の有無や、その進行程度を診断することは可能ですが、どのような歯周病菌に感染しているのかまでは判りません。
要するに、歯周病のタイプや悪性度、将来の見通し等を診断するには限界があるのです。

大人の歯周病は大きく分けて次の2つのタイプがあります。
1)慢性歯周炎
2)侵襲性(しんしゅうせい)歯周炎:急速に進行する歯周炎

歯周病患者さんの多くは中等度までの慢性歯周炎であり、これは一般的な歯周病治療で改善します。
20〜40歳であるにもかかわらず歯周病が進行してしまっている場合は、侵襲性歯周炎である可能性が高いです。
侵襲性歯周炎や、重症の慢性歯周炎の場合は、通常の歯周病治療だけでは治療効果が低かったり、改善しても再発を繰り返すことが多いです。
そのような場合には、どのような種類の歯周病菌がどんな割合で感染しているかを検査することで、適切な治療法や薬剤を選択・追加することができます。

歯周病菌のなかでも代表的なものは以下の5菌種です。
P.g.菌( Prophyromonas gingivalis )
T.d.菌( Treponema denticola )
T.f.菌( Tannerella forsythensis )
P.i.菌( Prevotwlla intermedia )
A.a.菌( Aggregatibacter actinomycetemcomitans )

P.g.菌は、歯周病菌の中でも主役級の細菌で、非常に悪性度が高く慢性歯周炎の発症に関連が深い細菌です。
T.f.菌とT.d.菌は、慢性歯周炎の発症に関連が深い細菌で、 P.i.菌は、思春期性や妊娠性の歯周炎に関連が深い細菌です。
A.a.菌は、侵襲性歯周炎の患者さんから検出されることの多い、言わば特有の菌で、非常に悪性度の高い細菌です。

特にP.g.菌、T.d.菌、T.f.菌の3菌種は、Red Complex(レッドコンプレックス)と言われ、悪性度が高いとされる細菌です。
口腔内の歯周病菌群は通常、年齢とともに形成されてゆき、大人になるとほぼ完成します。





唾液等を採取し、歯周病細菌遺伝子(DNA)検査:リアルタイムPCR法を行うことで、
上記の5菌種の数や割合を調べることで、歯周病のタイプや悪性度、将来の見通し等が判ります。
特にRed Complex(レッドコンプレックス)の数や割合が高くなる場合には、重度の歯周病かつ再発率も高くなる傾向にあります。
年齢の割に歯周病の進行が激しく、A.a.菌や、Red Complex の検出率が高い場合には侵襲性歯周炎と診断されます。
歯周病のタイプが判れば、一般的な歯周病治療だけではなし得なかった効果の高い適切な治療法や薬剤を選択することが可能になります。




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