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インターネット歯科相談の落し穴
インターネット上での歯科相談が花盛りですね。
茂木信道歯科医院の掲示板にも色々な質問が寄せられるのですが、最近では本当に多くのサイトで歯についての相談を受けている場面に遭遇します。
僕も以前、あるサイトで「ネットドクター」などと称して、寄せられた相談に対して自ら首を突っ込んでコメントを書き込んでいた時期があります。
でも、現在はそのようなことは一切やっていません。
このテの相談を傍から観ていると、患者さんの利益になっていないと思われるモノが非常に多いのです。「これじゃ単に患者さんの混乱が増すだけでしょ、、、」と思われるモノも少なくありません。特に、現在の主治医に対して不信感を持っている患者さんがネットを通じて相談をした場合はタチが悪く、ほぼ１００％の確率で主治医への不信感が増すと思われるのです。
当HPも開設当初は”お問い合わせ”というコーナーがありましたが、”安易に踏み込むと危険そうな相談メール”が非常に多く、量的にも僕の処理能力を大きく超えていたので、現在は”メールはこちら”という名称に変えています。
結局のところ、最終的に言えるのは「実際にその患者さん見て診断した歯科医師の意見が一番正確である」ってことなんですね。
不思議なモノで、遠隔診断の魔力とでも言うんでしょうか。会ったこともない歯科医師がネット上で書き込んだ意見（＝無責任な意見）や、メールでの診断（=不正確な診断）の方が正しく感じてしまうんですね。これって本当に不思議です。
簡単な例で言うと、、、
とある患者さんが実際にご近所の歯科医院を受診し、その歯科医が「この歯は残せない。抜かなきゃダメです」と即座に判断したとします。その患者さんは”どうしても抜きたくない”という一心で、メールで「歯がグラグラするんですけど、どういう治療になるんでしょうか？」という相談を”見知らぬ僕”にしたとします。僕が「おそらく進行した歯周病でしょう。とりあえず詳しく歯周病の検査をした上で治療計画を立てて歯周病の治療をする必要があります。ただし重症な場合は歯を抜かなければならないでしょう。」と回答したとします。
そうすると、僕にメール相談をした患者さんは「おいおい、まずは詳しく歯周病の検査をしてから判断するんじゃねーの？。ウチの近所の先生、いきなり”歯を抜きます”だなんて、いいかげんなんじゃないの？」と思っちゃうわけです。
しかしながら、この場合で一番いい加減なのは、実は僕の回答なんですけどね。そもそも、歯周病じゃない可能性（歯が折れているとか）だって充分にありますから。そして”もはや抜くしかない歯”というものは、特に詳しい検査をしなくても即座に判断できることが多いです。
実際に患者さんを見て診断した先生が、おそらく100パーセント正しいのです。
例をもうひとつ。
メールで「歯に穴があいてしみるんですが、どんな治療をするんですか？」という相談を受けたとします。僕が「歯にあいた穴はムシ歯よるものと思います。まず、ムシ歯の部分を削って除去し、神経が残せそうなら薬を詰めて様子をみるケースです。もちろん場合によっては神経を取ります。」と回答したとします。で、その患者さんが実際にご近所の歯科医院を受診し、その歯科医が「この歯は神経を取らなきゃダメです」と即座に判断したとします。
そうすると、僕にメール相談をした患者さんは「おいおい、まずはムシ歯を完全に除去してから判断するんじゃねーの？。この先生、いきなり”神経を取ります”だなんて、いいかげんなんじゃないの？」と思っちゃうわけです。
これも実際に患者さんを見て診断した先生が、おそらく100パーセント正しいです。
、、、という具合に、僕は実際に口の中を見ていない上に、患者さんからのメールから得られる情報だけで判断しなくてはならないので、おのずと当たり障りのない回答になるものなのです。ところが、それがパソコン上で文字となって踊ると、とても慎重に事を進めてくれて、自分の事を真剣に考えてくれる先生のような気になってしまうのでしょう。
それとは対照的に、メールでの相談に対して”思いっきり断言してしまう”ネット上の歯科医師というのも中には見受けられます。「おいおい、そんなところまで言っちゃって良いの？」と言うぐらい自信たっぷりに遠隔診断してしまうものも珍しくなく、中には病名まで断言しているものもあります。こういうのって本当に危険です。
当HP宛に相談のメールなどを送って下さること自体は問題ありません。ただ、BBS相談、メール相談による回答は、あくまでも参考意見として、「へぇ〜、そんなコトもあるんだぁ」程度に聞き流していただくのが得策かと思います。
あとですねぇ、相談の主は何処ぞの誰かも分からないけど、「この人きっと困ってるんだろうな〜」って思ってこっちは一生懸命回答するでしょ、、、何のレスポンスもないっていうの多いんですよね〜。一言で良いから「何かしら返事して」下さいね〜。
引用文献：ヨシダ歯科HP（http://www.ydo.or.jp/）BBS(2003.12.25)
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